現在、伊東市においても移住・定住の促進のための活動がされており、先日、動画が制作されましたが、そこには横浜へ通勤する夫婦の姿が描かれていました。確かに本市は都会に通えない距離ではありません。しかしながら、2014年にアットホーム株式会社が、都内に勤務する子持ちのサラリーマン583名を対象に行った通勤の実態調査によると、80分以上の通勤を苦痛だと思っている人はほぼ半数になっていました。また、理想の通勤時間は35分でした。伊東から横浜は快速アクティーを使ったとしても96分、通常の東海道線だと111分の距離です。電車の時間でこれだけなので、Door to Doorを考えたらもっと長くなると思います。

 東京都も同じです。新幹線を使っても90分以上の距離になります。つまり、伊東から都会の通勤は、無理じゃないけれど、無理がある状況で、仕事を持っている人に伊東に移住してもらおうとすると、その無理を覆すぐらい強烈な動機が必要になると思います。強烈な動機が必要な人に広告をかけるというのは効率が悪いというのは理解に難くないと思います。ですので、強烈な動機を必要としないターゲットを明確に設定し、そこに費用をかければ、効率良く移住・定住が図られるのではと思います。


 例えば、仕事をリタイアをされた方。ある不動産会社の社長に聞いた話なので、サンプル数が1で絶対正しいとは言えませんが、65歳ぐらいで引退して不動産を購入している人の7割が、10年後ぐらいにお子さんが住んでいる都会に帰っていくという話を聞きました。しかも、財産をきちっと整理、つまり売ってから都会に戻るそうです。これにより不動産の流通がよくなっているわけで、不動産業界の活況は3月の議会で納税額がふえる積算根拠として、29年1月の段階で不動産業52.6%アップというのがありましたが、もしかしたら、それを証明しているのかもしれません。もちろん伊東市に起こしいただいたからには、ずっと伊東市に住んでもらいたいという気持ちもあります。そして、最後まで住むと決めた方には、市として最後まで責任をとる姿勢であることは十分理解しています。
 一般的には、お年を召した方を移住させると医療費の増加があると懸念する声もありますし、だからこそ、リタイアされた方の誘致に消極的になっているのではないかと勝手な推測さえ私はしております。しかしながら、伊東市の医療の水準が都会より低いから戻るのか、最後は息子や娘のそばにいたいからか、7割が都会に戻るというのが本当なら、移住・定住の相手として、今までと違った見方ができるのではないでしょうか。議論を恐れないことが大事だと考えております。
 また、通勤しなくていい働いている年代も考えることができると思います。営業部門が東京にあって、ITのプログラムを制作する部署、総務、経理などの部署だけを移す会社もあります。アニメの制作会社なんかもあると思います。総務、経理を移す会社が求める条件は、アニメの制作会社が求める条件はなど、現在も情報収集されているとお聞きしましたが、最初にターゲットをはっきり設定すれば、集めるべき情報がはっきりすると思います。P・D・C・Aをより具体的に回すことができると考えます。明確にターゲットを絞って、移住・定住策を行っていくことは効果的だと思うのですが、いかがでしょうか。